日常生活の中で私たちは顎を動かし、食べ物を咬む「咀嚼」や、食べ物を飲み込む「嚥下」、言葉を話す「発語」の運動をしています。これらを機能運動といい、その中でもかみ合わせと深い関わりのある運動が「咀嚼運動(そしゃくうんどう)」です。
正しい咀嚼運動は、食べ物を咬み砕いて飲み込みやすくし、お口の中を刺激して、唾液や消化液の分泌を促し、大脳も刺激します。ちなみに、咬むことによる大脳(前頭前野)の血流量の増加は、若者にはあまりみられず、年齢を増せば増す程現われるそうです。エイジングケアや認知症の予防に役立ちます。
かみ合わせが悪くなって下顎がズレ、咀嚼運動が異常になります。その状態を続けていると、虫歯や歯周病、顎関節症、さらには全身の健康にも悪い影響を与えるのです。
無意識におこなっている咀嚼運動
牛や馬などの動物がエサを食べるとき、下顎を動かして奥歯ですり潰すようにして咀嚼します。この、食事をするときに無意識におこなう下顎の運動を「咀嚼運動」と言います。これは、個々の動物に特有のもので、もちろん私たち人間にも固有の咀嚼パターンがあります。
私たちは食事をするとき、次のような流れで食べ物を食べています。
1. 食べ物を奥歯に挟んで固定する
2. 固定した食べ物を切る
3. 切った食べ物を押しつぶす
4. 押しつぶした後にさらにすりつぶす
この一連の運動が、人間の咀嚼パターンです。
これまで、人間の咀嚼運動については詳しく知られていませんでした。これを世界で初めて解析したのが丸山剛郎大阪大学名誉教授です。咀嚼運度を正常に回復することは、丸山咬合医療における咬合理論の基本の一つになっています。